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ユリゴコロ/沼田まほかる

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ずっと読みたくて、待ちに待ったこの作品。期待を裏切らない作品だった。
やっぱりこの人の読み手を引き込む力はすごいなーと改めて思った。

実家の押入れから人殺しの手記が出てくる。それは亡き母が書いたのか、或いは余命いくばくもない父なのか、それ以外の人物なのか。
しかも手記の中に出てくるいくつもの殺害方法は、いずれも残虐で生々しい。

答えが知りたくて、どんどん読み進めてしまう。
亮介と婚約者との関わりがイマイチ物足らない感じがするけれど、それ以外では私の好みにドンピシャリだった。
人間らしい感情を持てずに、快楽のためだけに人を何人も殺してきた人物は、世の中に罰される事はなかったけれど、家族に大きな罰を受けた。子供を持つ身の私自身は、ついつい殺されてしまった罪のない子供とその親の気持ちを考えてしまう。もちろん一番かわいそうなのは殺された人たちだけど、本書での殺人者が一番悲劇だったのは、子供を育てて初めて自分の罪深さを自覚してしまったということ。殺人者にとっての悲劇が、ほんの少しでも被害者の救いになるんだろうか…と考えてしまった。

ラストの更に続きが気になってしまう。この余韻がまたいい。

by honochimama | 2012-03-03 23:49  

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