前作、前々作があまり手ごたえのない本だったので、「面白い本でありますように」と祈るような気持ち半分、伊坂さんだから面白いに違いないという期待半分で読み始めました。
読み始めてすぐに「あ~久々に伊坂さんらしくて好きな本かも♪」という予感があり、その予感は的中しました。期待通りでよかった!
でもこの作品が最近書かれた作品ではなく、数年前に新聞連載で掲載されたものだと知ってちょっと寂しくなりました。やっぱり今の伊坂さんには、かつての愉快すぎる面白い作品は難しいのだろうか?というイヤ~な予感。こちらの予感はぜひとも当たって欲しくない。
相変わらず次々と伏線らしき小ネタがあちこちに散らばっているので、あっさりとした最後では、伏線の全部をちゃんと消化されたのだろうか?と不安になり、また読み直してしまった。
伊坂作品を読むといつもこうです。(たぶん私の覚えが悪いだけなんだろうけど)
主人公の由起夫は、女子目線から見てとても格好いい。無駄に熱くない高校生なのが格好いい。喜怒哀楽の激しい高校生男子が主人公だと、オバちゃん読んでて疲れちゃうからさ。
伊坂さんの得意そうな悪人も数名出てくるのが、スパイスが効いていていい。裏社会の人間が登場すると、伊坂さんの作品はピリッと締まる気がする。裏社会の人間を描くのが得意なんだろうね。人の良さそうな作者なのに(笑)
結局振り込め詐欺の犯人はどうなったんだという疑問は残るものの、読んでいて爽快感のある楽しい本でした。
現在伊坂さんは朝日新聞の夕刊で「ガソリン生活」という連載をされていて、今の私の楽しみの一つとなっています。ただ、伊坂さんの話を少しずつ読むのって、面白いけど辛いです。一冊まとめて読んでも伏線が多くて大変なのに、毎日少しずつしか話が進まないなんて、絶対に数ヶ月後には最初の頃の話を忘れているに違いないもん。(あくまで私の場合)