星守る犬/村上たかし

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シンプルな話なのに、深くてせつない。でもこれを読んで思ったわ。人生の最期が孤独死だったり、殺されたりという不幸な終わり方だったとしても、だからといってその人の人生そのものが不幸だったとは決して言えないよな、って。

この本で孤独死をしたお父さんは、第三者から見たら不幸な最期だったかもしれないけど、本人は幸せだったのかも。「お父さんは不幸な死に方をした」だなんて、他人が決めることじゃないかな。読後にそう思っていたら、作者があとがきで同じような事を書かれていたので、とても嬉しく感じました。

娘にも読んで欲しいけど、小学生が読んだ時どこまで理解できるかな?
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# by honochimama | 2012-02-05 23:40  

いま会いにゆきます/市川拓司

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やっぱりこの人の文章がとても好き。次々とハプニングが発生しても、この人が語ると落ち着いて状況を観察できる。穏やかな文章だから、余計に臨場感が増すというのも不思議。

「そのときは彼によろしく」と似た設定がいくつかある。
元の飼い主に声帯を手術されたらしい「ヒューウィック?」と鳴く犬、奥手な主人公、現実離れした状況に陥る彼女等々。
なのに、全然違う話になっている。
奥さんに先立たれた主人公は家事が苦手、病気持ち、記憶力が弱い、いいところがなかなか無いのに、なぜか魅力的。亡き奥さんを想い、小学生の息子を一生懸命育てている姿に共感できるからかな。

死んだはずの奥さんが突然現われたときは「何だその展開?」と思ったけれど、ラストでタネあかしがされたときには衝撃を受ける。とても悲しい衝撃。
過ぎてしまった過去にはどうがんばっても手が届かないという、悲しい現実。それが痛いほど伝わってくる。

「いま会いにゆきます」も決して電車で読んではいけない本。
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# by honochimama | 2012-02-04 22:30  

塩の街/有川 浩

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言わずと知れた有川浩のデビュー作。自衛隊好きが前面に押し出されてて気持ちがいいくらい(笑)

デビュー作とは思えないくらいに有川浩のカラーが完成されていて、初々しさはあまりない。すごい人だねー。
強いて言えばお得意なベタ甘シーンが少なめかなという感じがしたけれど、それでも通常の恋愛小説レベルでは充分ある。

問題が解決しまってるから続編はあまり期待できない。でも見たいなー。
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# by honochimama | 2012-02-03 21:25  

悪の教典 下巻/貴志祐介

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非常に後を引く本です。上巻を読んでから数ヶ月経っているというのに、そのブランクを全く感じさせない下巻の威力。上巻の内容がずっと頭に残っていたというのも驚きです。よっぽど印象深かったのだろうと思われます。

とてもブ厚い本なのに、読み終えるのはあっという間。貴志さんの人を引き込む文章力には恐れ入ります。特にこの下巻は大量殺戮を繰り広げるシーンが延々と続くのに、読んでいて全く飽きない。むしろ、こっちが「殺人」という犯罪に対して麻痺してしまいそうになりました。怖いわー。

ここまでひどい事件をおこしながらも、蓮見先生の魅力はやはり残ったままです。絶対に出会いたくない人だけどね。どこかで同じような事件が起きそうでぞっとする。

脱獄した後の蓮見先生のその後がもしあるなら……と、つい期待してしまいますが、実際に続編があったら相当読ませる作品じゃないとだめかも。
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# by honochimama | 2012-02-02 14:43  

クジラの彼/有川 浩

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この人は「今回の本はいまいちだったなー」なんて事がない、私にとって稀有な作家さんであります。

自衛隊員に関わる恋愛話6話を集めたこの本。「空の中」のあの二人のその後が書かれていて、なんだか安心しました。二人がどうなったのかが気になっていたので。
でも「海の底」のスピンオフも書かれていたと知って、そっちも先に読んでおけばよかったなーとちょっと後悔。

一番気に入ったのは表題にもなっている「クジラの彼」。
いまどき少女漫画でもここまでベタ甘な恋愛話はなかなかないだろうという、女の子の王子様願望を見事に表現している話。こういうのって男性が読んでどう思うんだろう。有川氏は少女趣味なところもあるけど、反面おっさんっぽい(失礼)男目線も持っている人なので、意外と男性ファンもちゃんと持っていくんだろうな。すごい人だわ。
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# by honochimama | 2012-01-29 16:02