いま会いにゆきます/市川拓司

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やっぱりこの人の文章がとても好き。次々とハプニングが発生しても、この人が語ると落ち着いて状況を観察できる。穏やかな文章だから、余計に臨場感が増すというのも不思議。

「そのときは彼によろしく」と似た設定がいくつかある。
元の飼い主に声帯を手術されたらしい「ヒューウィック?」と鳴く犬、奥手な主人公、現実離れした状況に陥る彼女等々。
なのに、全然違う話になっている。
奥さんに先立たれた主人公は家事が苦手、病気持ち、記憶力が弱い、いいところがなかなか無いのに、なぜか魅力的。亡き奥さんを想い、小学生の息子を一生懸命育てている姿に共感できるからかな。

死んだはずの奥さんが突然現われたときは「何だその展開?」と思ったけれど、ラストでタネあかしがされたときには衝撃を受ける。とても悲しい衝撃。
過ぎてしまった過去にはどうがんばっても手が届かないという、悲しい現実。それが痛いほど伝わってくる。

「いま会いにゆきます」も決して電車で読んではいけない本。
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by honochimama | 2012-02-04 22:30  

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